こんにちは。
みなさん研究を楽しんでいますか?
大学院生は研究に没頭するあまり、私生活とのバランスが崩れてしまうことは少なくありません。
以下は有名な論文等ですが、大学院生には精神状態が不安定な人が多いことがわかります。
・世界中の博士学生5700人以上にアンケートをとり、全回答の12%の学生が不安や抑うつについて助けを求めたことがあると答えた。(Graduate survey: A love–hurt relationship)
・26ヶ国、2279人の大学院生(修士及び博士)にアンケートをとり、全体の40%近くがうつ病の症状及び兆候を示した。(More than one-third of graduate students report being depressed)
など。その他報告あり。
僕もこれまで高専、大学に在学し研究をしてきましたが、同期や先輩と多くの人が研究の途中で学校に来れなくなりました。
しかし、普段関わっている大学教員等の研究者は強靭な精神を持ち合わせているように思います。
その人たちは大学院博士前期・後期過程、ポスドクという条件でスクリーニングされてきた猛者とも言えるでしょう。
そして、アカデミックの世界に出てきてない人々は上記の問題を抱えて消えていったのかもしれません。
ということは、博士課程で精神に不調をきたしている人は周りにいるのでは…??
実は私はそのうちの一人です。
今回はメンタルをやってしまった僕が、どのようにして研究と向き合っているのかについてです。
今回のまとめ
1. 研究する時間を制限して休息時間を確保する
2. やばいと思ったら休む
3. 耐えきれなかったら病院に行く
それでは、僕の体験談と病気、実践内容の詳細についてです!
プレッシャーに押しつぶされてしまった
思い返すと、5年前の冬頃から自覚症状がありましたが、年を追うごとにその深刻さは増していきました。
耐えきれなくなったのは、修士2年の冬でした。
修論を書くことがきつかったのではありません。
当時の僕は修論のテーマと別の研究室で違う研究をしていました。
編入学後から修士までの研究をまとめた記事です。こちらもぜひご一読ください!
どちらの研究でも予想通りの結果が出た後、再現できなくなりました。
少なくとも別の研究室では出たデータをもとに論文化しようと言うところまで来ていたところでした。
数ヶ月経っても、その結果を再現することはできませんでした。
ですが、その数ヶ月は自信を奪うのに十分でした。
次第に実験に取り組む気持ちは無くなっていき、そして、自分の無能さを呪うようになりました。
当時、研究室に行けなくなることはありませんでしたが、周りに頼る余裕も無く、誰にも親にもきついとは言えず、毎日が”死にたい””消えたい”という気持ちに塗りつぶされていました。
そういった日々を過ごしているうちに、自分では気持ちをコントロールできないようになっていました。
些細なことで自分には価値がない。生きている意味がないと思うようになっていました。
双極性障害Ⅱ型の疑い
そんな辛い日々を過ごしている中、誕生日を迎えました。
その時、次の誕生日までに病院に行くことを決意しました。
僕一人だと行くことはなかったと思います。
ですが、治らないと迷惑をかける人がいることを知り、ある日ようやく精神科に行くことができました。
冬に気持ちが沈んでしまうことから冬季うつ病だと思われましたが、その後の診断で双極性障害のⅡ型と診断されました。
あまり耳にしたことがないかもしれませんが、双極性障害とはこういった病気です。
ハイテンションで活動的な躁(そう)状態と、憂うつで無気力なうつ状態をくりかえす。(知ることから始めよう みんなのメンタルヘルス 厚生労働省)
ですが、うつ病と間違われやすく、誤診されることがあります。
その問題点がこちらです。
問題点
・躁状態ではとても気分がよいので、本人には病気の自覚がない。
うつ状態では病院に行くが、躁のときには治療を受けないことがよくあるそうです。
しかし、うつ病だけの治療では双極性障害を悪化させてしまうことがあるとのこと。
躁状態とはこういう状態です
・眠らなくても活発に活動する
・次々にアイデアが浮かぶ
・自分が偉大な人間だと感じられる
・大きな買い物やギャンブルなどで散財する
などなど。
僕の場合、春から夏は元気でいけいけどんどんという気持ちになります。
昨年は夏の時期に週に1回のペースで、6時〜25時、次の日も6時〜という実験スケジュールを立てていました。
実験の性質上仕方ないものでもありましたが、それを苦にせず行なっていました。
それはランナーズハイのような、きつい状態に多幸感を覚えるような感覚で、僕は躁状態に入っていたのではと思われます。
今回、僕が診断されたのは双極性障害Ⅱ型でしたが、双極性障害には二つあり、それは躁状態の状態によって分けられます。
・躁状態(双極性障害Ⅰ型):家庭や仕事に重大な支障をきたし、人生に大きな傷跡を残してしまいかねないため、入院が必要になるほどの激しい状態
・軽躁状態(双極性障害Ⅱ型):はたから見ても明らかに気分が高揚していて、眠らなくても平気で、ふだんより調子がよく、仕事もはかどる。しかし、本人も周囲の人もそれほどは困らない程度の状態
僕も初めは躁状態に自覚がなかったため、冬にうつ状態になる冬季うつ病だと思っていました。
そのため、抗うつ剤を処方されたのですが、これが合わず、以下のような症状が出ました。
・よりイライラしやすくなった
・何か落ち込むことがあった時に寝込んでしまうくらいに疲れた
・何かイライラするようなことがあった時には何かを破壊したくなった
このような症状をアクチベーションシンドロームと言うようです。
双極性障害の人が抗うつ剤を飲むと、より焦燥感が増すことがあるため、軽い躁状態の疑いが過去にある場合はそれを医師に伝える必要があります。((知ることから始めよう みんなのメンタルヘルス 厚生労働省))
自分が精神的に参っていることは分かっていましたが、病院に行くということは自分が病気になっていると認めてしまうようなものです。
なので、病院に行くのはとても勇気が必要でした。
ですが、そのおかげで客観的に自分の状況が分かり、対処できるようになりました。
そこで、どうやったらきつくならずに研究できるか考え、今年度からは必ず休む時間を決めることにしました。
しっかり休息をとることでメンタルと研究時間を管理する
これまで土日も研究していたことは躁状態だったのでしょうか。
もともと研究は好きでやっていたものです。
この意欲はどこから生まれていたのか。
それは躁状態によるものなのか。
そんなこと考えても仕方がありません。
疑心暗鬼になって研究が嫌になるくらいならと、今年度から始めたのがしっかり休むということです。
うちの研究室はコアタイムがないことから、これまで土日も研究し、夜も遅くまで研究室に残ることがありました。
もちろん、土日も研究室に行かず夜も残らなければ、これまでに比べて生み出せる進捗量は減るでしょう。
ですが、以下のことを実践するようになって、前に比べて効率よく研究できるようになりました。
それは。
・土日は研究室には行かない
・平日は遅くても19時には帰る
と制限をつけたことです。
これまでは研究室に行って、なんとなくその日の実験をしていました。
ですが、あえて研究の時間を制限することにより、効率的に1日を使うための予定を立てるようになりました。
また、そのほかのメリットとしてはこれらが挙げられます。
・土日は研究室から離れることで月曜日にスッキリした気持ちで研究室に向かうことができるようになった
・その日に体力を使い切らず、次の日に余裕を持って研究をできるようにもなった
最近は、企業では可能な限り残業を減らす傾向にあるようです。
そのため、予行練習と思って取り組めば良いのではないでしょうか。
また、しっかりと休むために、普段以下のものでリフレッシュしています。
・Amazon PrimeやNetflixでアニメや映画、ドラマを鑑賞
・ブログ執筆
・週に2回程度ランニング
・音楽をかけながら湯船に浸かる
・土日はお出かけや料理
オススメは料理です。
食材を切る、炒める、煮る、味付けするなどの手間がかかるため、没頭できます。
また、ランニングの後、湯船に浸かるのもオススメです。
疲れた体で温かいお風呂に入ると悩んでいたことも忘れて、癒しの時間を与えてくれます。
終わりに
今回、僕は研究を嫌いになることはありませんでした。
ですが、論文に向けて早く結果を生み出さなければいけない。
修士論文までの期限が迫っていたなど、自分をどんどん追い込んでしまう要因がありました。
それは前回の記事でも触れています。
そして、ついには自分を嫌いになってしまいました。
ですが、病院に行き客観的に自分の状態を把握し、薬をもらうことによって、これまで悩まされていた寝付きの悪さも改善することができました。
また、自分を追い込まないために研究の時間を制約することで、自分を大事にしながら研究をすることができるようになりました。
これから問題になるのは冬ですが、辛くならないように調整していきたいと思います。
皆さんも自分の体を大事にしながら、最適な休息方法を見つけて研究に励みましょう!
今回のまとめ
1.研究する時間を制限して休息時間を確保する
2.やばいと思ったら休む
3.耐えきれなかったら病院に行く
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