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調べれば調べるほど謎が深まるバナナの実の病気の話

バナナって安いのに美味しいので、家にはいつも置いている家庭は多いのではないでしょうか。

うちにも常備してあり、朝ごはんやおやつとして食べています。

先日バナナの皮を剥こうとしてもなかなか剥けず、苦労して剥いたところ…

なんと!病気になっていました!

ネットで調べるとモキリオ病と出てきましたが、調べるにつれて謎が深まり…

今回はこの謎の病気について紹介したいと思います。

バナナの実の病気はモキリオ病?そうとは言い切れないぞ!

これはおそらく病気だろうとワクワクしながら調べてみると、モキリオ病というのがヒットしました。

モキリオ病というのは、どうやら細菌(バクテリア)によって引き起こされる病気のようです。

そこでモキリオ病の実態を調べてみようと、バナナの細菌病についてまとめている文献(Bacterial Diseases of Bananas and Enset: Current State of Knowledge and Integrated Approaches Toward Sustainable Management. Blommeら、2017)を読んでみました。

すると…モキリオ病という病気が出てきません!!!

なぜなのでしょう。

別の文献も読んでみると以下のような記載がありました。

Finger-tip rotは1962年にHondurasによって初めて記載され、モキリオと呼ばれていました。”Finger-tip rot, which was first described from Honduras in 1962, was called “Mokillo”Determination of Genomovar Status of Burkholderia cepacia Causing Banana Finger-tip Rot and Development of a Simple Semi-selective Medium for Isolation of the Pathogen. Leeら、2004

つまり、現在はモキリオ病という名前ではなく、Finger-tip rotという名前になったのですね。

その理由については以下の文献に記述してありますが、簡潔に述べると原因となる病原菌の分類が変わったことにあるようです。First Report of Burkholderia cepacia as a Pathogen of Banana Finger-Tip Rot in Taiwan. Leeら、2003; Molecular Typing and Presence of Genetic Markers Among Strains of Banana Finger-Tip Rot Pathogen, Burkhoderia cenopacia, in Taiwan. Lee and Chen 2006)

仕方がないので、どの病気か文献内の写真と比べてみました。

banana blood diseaseの写真(Blommeら、2017

banana moko diseaseの写真(Blommeら、2017

今回のバナナの病気。

banana blood diseaseとbanana moko diseaseが似ているものの、この病気だ!と断定することはできません。

今回の病気は細菌病に落ち着きますかね…

*実際の病気の特定には、1. 病原菌の分離、2. 分離した病原菌の接種による病徴の再現、3. 同じ病原菌の再分離という工程が必要になります!(コッホの原則で調べてください!)

終わりに

今回調べて分かったのは、バナナの実の病気というのは素人だと見た目からは判断できないということですね。

ですが、調べた限り細菌による病気(banana blood diseaseまたはbanana moko disease)に似ていました。

ちなみにfinger-tip rot(モキリオ病)はあまりメジャーな病気じゃないようです。(Blommeら、2017

今話題の肺炎でも、PCRしないと新型コロナウイルスかどうかわからないように、バナナの実の病気も詳しく調べないと分からないのでしょう。

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