先日、修士過程(博士前期課程)を終え、博士後期過程に入りました。再入院というやつです。
しかし、僕は修士課程で”研究”をしていたのだろうか。
ただ実験をしていただけなのではないか。
そんな思いに苛まれています。
始まりはスクリーニングから
僕の研究は突然変異体を使ったスクリーニング(大規模な集団から目的の形質を探すこと)でした。
スクリーニングをすると、まあ、いろんなものが見つかるわけですよ。
それが楽しいんですよね。自分が何かしている気になるわけですよ。
でも、それって研究なんだろうか。
僕は研究とは、結果からこれまでの論文等と照らし合わせて次の実験を練り、さらに出た結果をもとにこれまでの報告とどのように違い、同じなのかを考察する。
また、解き明かしたいことに対し、これまでの報告からどのような実験系をデザインすれば良いか考え、実際に手を動かしながら結果をもとに実験系をデザインし直すこと。
と考えています。
ただ、当時の僕はそんなこと考えもしなかったんですよね。
だって、スクリーニングだから。
スクリーニングしてればいろんなものも見つかるし、ましてや突然変異集団でめちゃくちゃな数の変異が入っていて、個々で挿入部位も違う。
なので考察のしようがないじゃんと諦めてたんですね。
でも、そうじゃない。
いろんな可能性があることを考えてもっと調べるべきだった。
でも、その頃の僕は気付かなかった。
というより、目を背けていた。
そして別の研究も始めた
学部4年生の頃、近い分野の先生が赴任されました。
研究の詳細な説明は個人情報の関係で伏せますが、その研究内容にとても感動しました。
そこで、所属研究室と別研究室での二足のわらじ生活が始まりました。
別研究室での研究はとても楽しいもので、植物がどのように外部刺激に対して応答しているのかが少しずつわかって行きました。
これまでしてきたスクリーニングではそのメカニズムまで踏み込めなかったのに対し、応答が見える研究はとても面白いものでした。
ですが、二つの研究室での研究は想像より厳しいもので、別研究室での研究は結果が再現できなくなっていき、気付いたら、修士論文の研究すらも壁にぶつかっていました。
僕の心は次第に余裕が無くなっていきました。
もともと僕がやりたくて両方の研究室で研究を始めたのに。
そして、修士の研究にはもうほとんど時間は残されていませんでした。
僕の修士論文は穴だらけでした。
博士論文に向けて思うこと
僕は学部時代にスクリーニングをし、修士のテーマも続きで行いました。
最終的にそのテーマでコース内の優秀修士論文賞もいただきました。
でも、本当に研究と言えたものだったのか、それはイエスとは言えません。
ですが、今では早めにそれに気づけたことは良かったと思いますし、博士課程ではしっかりと研究したいと思います。
また、二つの研究室で研究をしたことにより、それぞれの研究室の雰囲気を感じ、また植物と微生物の両方の視点を持って考えられるようになったのはとても良いことでした。
博士課程では、これまでのテーマからは離れ、別のテーマに励む予定です。
3年間でどこまでできるのかデザインし、問題が起きた時は対処し、これまでの知見と照らし合わせながら、自分の研究の立ち位置を明らかにしたいと思います。
まあ、色々あって未だにテーマがしっかり決まっておらず、やばいのですが…
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