研究のタイプでデータ駆動型研究と仮説駆動型研究というタイプがあるのはご存知でしょうか。
大雑把に言うと
・データ駆動型とは「事前に仮説を立てずにデータを取り、結果を分析した上で研究を進めるタイプ」のこと。
・仮説駆動型とは「仮説を立てた上で、その仮説検証のための研究を進めるタイプ」のこと。
私は現在、仮説を立てて検証する仮説駆動型研究(hypothesis driven)に取り組んでいます。
修士まではデータ駆動型研究(date driven)に取り組んでいましたが、思考の訓練が足りていなかったので、博士課程一年目はうまく実験を進めることができませんでした。
このことについては、こちらにまとめています↓
今回は二つの研究のタイプを経験して感じたことやメリット・デメリットをまとめ、研究を始めたばかりの学生が研究する上で気を付けるべきことを述べたいと思います。
結論から述べると、「どちらのタイプであっても自分で考えて研究しよう!」「報連相はしっかりしよう!」ということです。
データ駆動型研究のメリット・デメリットについて
データ駆動型のメリットは「条件に対して何かしら結果が出る」ことです。
結果が出ることは最も重要なことと言っても過言ではありません。
結果が出なければ先に進めないですし、論文も書けないからです。
デメリットを挙げるとすれば「時間やお金を浪費する可能性がある」ことです。
スクリーニングの場合、目的の形質が出るまで続ける必要があり、結果が出るまでに時間がかかります。
大規模データ解析でも同様に、何かしらデータが出ると踏んでいてもデータが出るまでに時間がかかる上、お金に見合った結果が得られないなどの問題が挙げられます。
また、これは仮説駆動型でも言えることですが、「綿密な戦略を立てないで進めた場合、研究がまとまらない」かなと思います。
データ駆動型は仮説駆動型より大量のデータに触れる可能性があります。
そのため、仮説を立てる訓練をせずに大量のデータを持つと、方向性がうまく定まらず、結果的に中途半端になってしまうことも。
僕はそうなってしまったので反省しています。
ちゃん指導教員と相談をすれば良かったです。
仮説駆動型研究のメリット・デメリットについて
仮説駆動型のメリットは「知見が蓄積している」「仮説→実証→考察のプロセスを早くから繰り返すことができる」ことです。
研究室内の過去の研究はもちろんのこと、様々な論文と比較することで方向性を考えることができます。
また、データ駆動型とは違い、地道かつ着実にデータを積み上げることができます。
研究は結果が出て花があるようなイメージがあるかもしれませんが、実際にはコツコツと一歩ずつ進んでいくものです。
もちろん仮説駆動型にもデメリットはあります。
研究経験の少ない学生の場合、データに対して仮説のバイアスがかかりすぎると「都合の良いように解釈してしまう」可能性があります。
逆に予想と違うデータが出ると、自分が悪いと思い込んでしまったり、別の可能性を見逃してしまうということもあります。
また、「ネガティブデータが出続けて辛くなる(人もいる)」こともデメリットです。
ネガティブデータをポジティブに可能性を潰したと受け止めるには、研究を始めたばかりの学生には難しいと思います。
その反面、出てきた結果に対して思考と検証を繰り返すプロセスを経験できるので、へこたれずに頑張りどころです。
失敗を積み上げて様々な可能性を潰し、最終的に仮説を立証するという過程は研究において重要だと僕は思っています。
大事なのはその結果がなぜ出たのか考える癖をつけること
これまでデータ駆動型と仮説駆動型のメリット・デメリットを挙げてきましたが、どちらが良いかと断言することはできません。
ですが、個人的には学生の間に仮説駆動型を経験する方が、後々役に立つのではないかと思います。
社会に出る前に、守られてる立場の間にたくさん失敗を繰り返して、成功のための道筋の見つけ方を確立した方が良いのではないでしょうか。
もちろんデータ駆動型でも仮説→検証というプロセスを踏むことはできるので、データ駆動型だからいけないというわけではありません。
データが出てからが勝負なので、仮説と検証を繰り返して研究してほしいと思います。
まとめ
データ駆動型のメリット・デメリット
・大量のデータが手に入る
・傾向から仮説を立てられる(はず)
・仮説に対して何かしらの結果が出る(はず)
・研究を始めたばかりだとデータを捌ききれない恐れがある
仮説駆動型のメリット・デメリット
・仮説→実証→考察のプロセスを学べる
・着実にデータが貯まる
・仮説のバイアスがかかりやすい
・ネガティブデータがで続ける可能性がある
データ駆動型では大量のデータの取り扱い、仮説駆動型では仮説バイアスに気を付けなければいけません。
そのためにも自分で考えながら実験し、また指導教員と相談し、周りの意見も聞いて多角的な視点で研究を進めましょう!
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