半年を犠牲にして、研究でやっちゃいけないことが分かったという話

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科学関係の記事

こんにちは。
博士課程の一年目が終了しようとしています。

今年はコロナウイルス問題で学会が中止になり、大学の外で動く予定はなさそうです。

先日、主査と副査(×2)の前で進捗報告をしましたが…

大炎上しました。

博士課程の1年がほぼ終了しており、卒業まで残り2年。
実際の審査の開始等が始まるまで、約1年3ヶ月。
それまでにアクセプトされてないといけず、査読に3ヶ月かかるとすると約1年。

もう失敗は許されないところまで来てしまいました…

というわけで、自戒を込めて自分がこれから同じ轍を踏まないためにも、
他の方が同じ目に合わないためにも、僕がどんな失敗をしたのかブログに書き留めようと思います。

こうなるだろうという思い込みで計画を進めた

遡ること約半年前。

扱っている菌や植物にも慣れ、ようやく対象とする現象も誘導できるようになってきた頃でした。

この現象に関しては物質Aが関わっているのではないかと、ある植物と菌または昆虫の関係で報告されています。
ですが、僕が対象としている植物と菌の組み合わせでは分かっていません。

この現象は植物を植えてから約一ヶ月で現れるので、先の予定を考えて実験する必要があります。

サンプルを可能な限り取るようにしつつ、その間に二巡目を用意して、場所の都合も計算してと準備したところは良かったのですが…

その結果、どのようになったかは次のセクションに書きます。

膨大なサンプル量で他の実験を進められなかった

例えば、一つの区画において10の植物から一枚ずつの葉を採るとします。
三反復取るならば30の植物体が必要になります。

非処理区と処理区を用意すれば2倍。経時的にサンプルを取るならば、3倍、4倍と必要な植物の数は必然的に増えます。

ですが、チャンバーなどの使用する空間が限られている場合、一度大きいスケールの実験を始めると他の植物を育てることができません。

僕の例ですと
1. 一気に実験を終わらせようとしたため、スペースを大量に使う
2. 圧迫し他の実験用の植物を育てることができない
3. サンプルを取ってばかりで実験が進まない
4. 1に戻る

という悪循環に陥りました。

これまで植物や菌を増やし、時間も場所も使ってきました。

だがしかし…

そもそも、「これまでの知見から仮説を立てたものの、サポートするデータを取らずに大きいスケールの実験を進めた」という問題に気づいていなかったのです。

さらに、他に実験をしてデータが出ていないので、相談する内容もなく相談することもできないため、余計にうまくいかないという悪循環に陥りました。

ここから学んだことは

頭で結論を出すだけでなく、手を動かして確認する
まず小さいスケールで鍵となるデータを取る
仮説を仮説のままにして先の実験を行わず、一つ一つ積み上げてから進むようにしましょう。
また、ゴールとなるようなデータを取った上で、その過程の詳細なデータを取りましょう。

ということです。

実験のための実験を軽んじていた

僕は植物と菌の間で生じる現象で、注目した遺伝子が発現しているのか。
発現しているならば、現象が見える前からどのタイミングなのか、付随する遺伝子はどうなのかを明らかにしようとしています。

遺伝子発現を調べると一言で言いますが、そこまでには
1. 菌を感染させた植物からRNAを取る
2. RNAからcDNAを合成する
3. cDNAを元にさらに増幅し、遺伝子発現を調べる
という流れがあります。

ですが、僕がつまずいてしまったのは最初のRNA抽出の段階。

この時は電気泳動してもバンドがスメアになっていたため、抽出が上手くいっているかわかりませんでした。

後々、泳動に問題があっただけで抽出は上手くいっていることは分かりました。

しかし、その後もRNAの抽出効率が悪かったり、pRT-PCR時に内因性コントロールの増幅が悪かったりと引き続き問題が生じています。

これは「データを早く取りたかったがために実験系を軽んじていた」のが問題でした。
いけるだろうの精神ではダメでした。

ここで学んだことは

自分の研究にあった実験系は自分で確立する
他の論文で報告されていたとしても、自分で効率を検証しましょう。
論文に使われている遺伝子やプライマーでも必ず自分で吟味し、遺伝子発現解析のために適したコントロールを選抜しましょう。

ということでした。

同じような実験系がラボ内で行われていないなら、余計にやらなければならないことでした。

指導教員と意思疎通が取れていなかった

これは当たり前のことですが、指導教員と連絡を取りあわないとダメだなと実感しました。

今回の進捗会から前回までの間は約三ヶ月、ほとんど自分の研究について話す時間がありませんでした。

僕の研究室では教員とご飯を食べる習慣もなく、それぞれの教員ごとに指導方針は異なります。

特に僕の指導教員は学生からアクションを起こさなければ、本当にギリギリの状況になるまで放置されます。

だからこそ、報・連・相は本当に大事だなと痛感しました。

外からの客観的な意見はとても重要で、ましてや自分よりも研究してきた人たちですから、その人たちを頼らない理由がないですよね。

まとめ

今回は研究を進めるにあたって失敗したことについて書きました。

研究を進めるときは
・頭で結論を出すだけでなく、手を動かして確認する
・大きなスケールの前に小さいスケールの実験で鍵となるデータをとる
・自分の研究にあった実験系は自分で確立する

・報・連・相
これらに注意して進めましょう。

近道のつもりが回り道をしてしまい、結果的に地道にやった方が早いということを実感しました。

急いては事を仕損じる」ですね。

進捗報告会の後の話↓

これまでの反省としてお互いの連絡の無さもあったので、週に一回メールで報告するようにしました。

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